映画祭物語『思い出そう、大切なこと』 第一章 出会い エピソード1

こんばんは、映画祭ブログ担当のながたです。  早速、物語の続きをどうぞ!  

感想もどしどし、お待ちしています。

第1章 出会い

<エピソード・その1>

 昨日、ケープタウンを発った飛行機は、ヨハネスブルグ、香港を経由し、ようやく成田空港への航路を飛んでいる。
機内は、静かに映画を楽しむ人、旅の疲れを癒すようにスヤスヤと寝息を立てている人々で埋まっている。
窓際の席に座っている皆野(みなの)エルザは、静かに目を閉じ旅の余韻にひたっている。
「草原を走るシマウマの群れ、ライオンの親子、みんな、懐かしかったな。」       
       
エルザは3歳の時、アフリカで発見された。
その時の健康状態、数々の精密検査により、ライオンに育てられた野生児と認定された。
野生児と言うと、1920年にインドで保護された女の子・アマラとカマラが、狼に育てられた野生児として有名だが、二人が早逝した事もあり、エルザについては、一部の研究家のみの極秘とされていた。そんな彼女は、日本人の大学教授夫妻に養女として育てられた。
      
二十日前、エルザがアフリカへ出発する時、パパは、
 「もう20歳だ、故郷の風をしっかり感じて来るんだよ。」って優しく送ってくれた。 
ママは、どうやら泣いてたみたいなんだけど、そっと頭をなででくれたの。 でもね、二人ともとっても心配性だから、友達も一緒なのに添乗員同行のツアーじゃなきゃダメって無理矢理申し込んじゃったの。本当は草原でライオンと一緒に遊びたかったんだけど、今はライオンは絶滅の危機があって南アフリカのライオンパークというところで保護してるのね。だけどそこには、半日しかいられなかったのよ。友達はみんな赤ちゃんライオンを抱っこして喜んでたから「まぁ、いっか。」って思ったわ。もしかしたら私の姪っ子か甥っ子かもしれないのにね、ふふっ。
           
私の名前は、映画『野生のエルザ』からつけたそうなんだけど、私は、パパと出会った時にはもう視力がほとんど無かったの、アフリカの太陽が、赤ちゃんには眩しすぎたんだって。
それなのに、パパったら映画を見せてくれて、耳元で、コソコソ説明してくれたのよ。耳にかかる息が、ちょっぴりくすぐったかったんだけど、パパの説明とライオンの愛らしい鳴き声、草原を走るシマウマやキリンの足音が懐かしくて、すごくうれしかった。それからはパパとママがいつも、テレビの場面や、映画を説明してくれるの。だから、ドラえもんやトトロ、タイタニックも観てるのよ。
 今ではね、友達も沢山のことを説明してくれるの。
     私はとても幸せ者。    
帰国したらね、友達と一緒に素敵なイベントに参加することになっているの。
今から、ワクワクしてるのよ。
また、お話するから楽しみにしててね。

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