映画祭物語『思い出そう、大切なこと』 第5章 絆とつながりを誓って

映画祭ブログ担当 ながたです。

昨夜の台風は大丈夫でしたか?我が家のベランダには、巣立ったばかりに鳩が二羽、避難していました。今朝、二羽仲良く飛び立って行ったのでホッとしています。では、お話の続きです。

チリンチリン
笑子のお店のドアベルが軽快な音を鳴らす。
昨夜の台風の名残りか、晴れた空に少し強めの風が吹いている。
「風でベルが鳴っても、天使に羽根がはえるのかしら?」
笑子はふと、そんな事を思った。
「あと5日・・・。」
店に貼ってある第5回シティライツ映画祭のポスターを眺めながらつぶやく。
淡いピンク色のチェック柄に濃いピンク色のリボン、そして天使の羽が描かれた映画祭にポスターは、店内に並べられているクリスマスグッズと違和感なくマッチしている。そして店内にはもう一枚のポスター、『素晴らしき哉、人生』が貼ってある。
笑子は、9ヶ月前のあかりとの出会いを思い出していた。
「あのとき、天使のクリスマス飾りを松五郎がくわえて来たんだっけ。」
チリンチリン
「こんにちは」
あかりが入ってきた。
松五郎のハーネスには、あのときのクリスマス飾りがつけてある。
「こんにちは、あら、松五郎。天使のクリスマス飾り、似合ってるわよ。」
松五郎は、聞こえていない様子であかりの側に伏せをした。
「松五郎、仕事はちゃんとしてくれるのだけど元気が無くて、ここに来れば少し元気になるかと思ったのだけど。」
笑子が、松五郎に話しかける。
「松五郎、もうすぐショコラティエちゃんが来るわよ。」
松五郎の尻尾がピクンと動いた。
「ねえ、松五郎、良かったら一緒に両国までつきあってくれる?」
様子を見ていたあかりがにっこりしてうなづく。
松五郎が、ゆっくり立ち上がる。
チリンチリン
「遅くなってごめんなさい。」
はながショコラティエを抱きながらお店に入ってきた。
ショコラティエは、床におろしてもらうと松五郎の傍らにスッと寄り添った。

つづく・・・。

 

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