映画祭物語『思い出そう、大切なこと』第4章 素晴らしき哉、人生 つづき

映画祭ブログ担当 ながたです。
映画祭まであと9日。
実は昨日、たまたま入った古書店で一冊の本に出会いました。
今から36年前に発売された『お菓子放浪記』の初版本です。
お店の奥でほこりを被っていたのですが、先日、映画『エクレール お菓子放浪記』のガイドづくりをした事もあり、
本に「ねぇ、僕を連れてって。」と言われている気がして思わず買ってしまいました。
世の中には、人との出会いだけでなく、映画や本、音楽などさまざまな出会いがありますね。
今年の映画祭では、どんな出会いがあるのか、私はとっても楽しみにしています。
それでは、第4章の続きです。    

「何だか突然、笑子さんが困っていると思ったのです。」
七海は、紅茶をカップにそそぎながら話している。
「どうして解ったの?私本当に困ってたのよ。」
笑子が驚いた様子で七海を見ている。
「私、たまにそういうことがあるんです。祖母が感のあたる人で、それを受け継いだみたいです。」
「すごい!私の事を感じてくれてありがとう。」
笑子はそそがれた紅茶を飲むと先を急ぐように話はじめた。
「七海さんは音声ガイド、何度も作っているのでしょう?」
「何度もではないけど、作っています。」
「大学でエルザと知り合って、エルザは目が不自由なのに私より映画を沢山観ていてびっくりしたんです。それで話を聞いて、私もガイド作りに挑戦したいと思って、勉強会に参加したんです。」
「私も、あかりさんに同行鑑賞会に連れて行ってもらって、感動したの。でも、実際に作るのは大変。」
「難しいですね、特に外国語の作品は、字幕は日本語でセリフは英語ですよね。ガイドの尺は英語のセリフの間で考えるから、ピンとこないですしね。何て言ってるかわからないし・・・。」
「でも、何か作り方はあるのでしょう?」
「あるにはあるけど、最初は通して観て、2、3日たってから自分の分担箇所を観る。それから目をつぶって、音だけで聞いて、とかね。」
「それも試したんだけど、いい言葉が思い浮かばなくて。」
「私は、いい言葉を考えるより、みんなで映画を楽しみたいって思って作っています。そう思いながら映画を観ると伝えるべきことが解ってきます。そうすると、自然に言葉が浮かんできます。」
「それは、おばあさん譲り?」
「いいえ、誰でも作れますよ。チームの方々が沢山コメントをつけてくれるので、最初は、どーんと作って大丈夫です。」
「ありがとう。そう言ってくれてホッとしました。頑張って作ってみます。」
笑子は、ガイド作りに奮闘すべく足早に家路についた。

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