モニターのつぶやき、その2です。

テッチャンです。

 やあ、何だってかんだって、『大誘拐 RAINBOWKIDS』は、とても
愉快な映画ですよ。
 私たちの音声ガイドチームは、4月23日に、通しチェックをしました。
それまでに、白熱の勉強会を重ねて作り上げた音声ガイドを1本にまとめて、
本番さながら、ナレーターが映画全編を通して読み上げるのです。
このようにして全部を聞き終えると、すっきり滑らかに出来上がった箇所と、
まだ不十分な箇所とが浮き上がって来ます。そのような不十分と思われる
箇所は、面白いことに勉強会の席で表現し切れなかったところとか、喉まで
でかかっているのに言うに言われなかった映像の巧妙な箇所なのです。

 文字媒体の小説なら、行間をじっくり味わうことも出来ますが、映像は、1秒
2秒の世界なのです。それで、どうしても音声ガイドで追い切れない
ことが生じてくるのです。そこに、音声ガイドの奥深さがあります。
 私は、この通しチェックを経験して、映画ってすばらしいと痛感しました。
映画に登場して来た始めのオバアチャンの何気ない短い台詞が、映画の
最後になってこの映画そのものを動かしていたと気づいたからです。
 誘拐犯の三人の青年を叱咤激励して、大誘拐の一台スペクタルを演じたのも、
たったその一つのオバアチャンの気持ちが原動力でした。このオバアチャンは、
背筋をぴんと張って気骨のある強い信念の持ち主で、戦争の苦労も
背負っていながら、茶目っ気で、底抜けに明るくかわいらしいオバアチャンで
す。どこかホンワリとした包容力が満ち満ちている感じです。
 そのオバアチャンのお陰で、三人の青年も、それにまつわる若い女性も、
そしてまた、オバアチャンを追い詰めきった警察本部長までが、それぞれに
オバアチャンの偉大さに舌を巻くのです。最後の場面で、本部長が、
オバアチャンに向かって呼びかける言葉は、言い得て妙です。映画全体を、
しっとりとした平穏に落ち着かせています。

 皆さん、6月4日の映画祭で、十分に確かめて下さい。
テッチャンは、絶対にウソはつきません。
次回は、映画「蝶の舌」のつぶやきに移ります。
 皆さん、それまでごきげんよう。

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