映画祭物語『思い出そう、大切なこと』 第一章 エピソード2のつづき。

映画祭ブログ担当のながたです。

早速、続きをどうぞ!

 

「しかし、元気なんていい名前だなぁ。親御さんは幾つだい?」
音松は、初対面とは思えないくらい気さくに話しかけてくる。
「はい、父親は48歳で母は45歳です。」
「そうか、48歳っていうとお父さんはオリンピックの年に生まれたのか。お父さんのお名前を聞いてもいいかい?」
「あぁ、響五(きょうご)って言います。字は音響の響に漢数字の五。なんかじいさんが、オリンピックの開会式にえらく感動して、生まれてくる子供の名前にあやかりたいって、青空に五輪を描いた航空隊をイメージして名づけたらしいです。ちなみに、僕の名前もじいさんがつけたんですけどね。・・・ずいぶん違いますよ。」   

「そうかい?、俺は、おじいさんの気持ちがわかる気がするな。
音松さんは、遠くをみつめて感慨深げな表情を浮かべる。
「そう言えば、今日は何の鑑賞会なのですか?・・・さっきの佐緒里さんの紹介の仕方だとまるでプロレスのイベントじゃないですか。」と、問いかける元気に、音松は、うれしそうに、
「さすがに若いと、勘が、ぁ、イイねぇ~」と団十郎も顔負けの見得を切る。
「えっ?勘が良いと言う事はプロレスなのですか?」
「そうだよ、プロレス観戦だよ。なんか懐かしいじゃないか。プロレスでワクワクした気持ちになるのも、力道山以来だ。あのころを思い出すよ。」音松はしみじみ思った。

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