映画祭物語『思い出そう、大切なこと』第5章 絆とつながりを誓って

映画祭ブログ担当 ながたです。
今年はいつになく梅雨らしい梅雨で、来週の映画祭が晴れてくれることを
祈るばかりです。映画祭まであと7日
今日から第5章に入ります。早速物語をどうぞ!

第5章 絆とつながりを誓って

「あと1週間だねぇ。」
音松がしみじみ話す。
「そうですね、あっという間でした。」
笑子も何故かまったりしている。

映画祭会場となる江戸東京博物館大ホール横の会議室。
開館時間を過ぎた博物館とは対照的に灯りが煌々とついている。
当日ボランティアの説明会が今、終了したところである。

「ボランティア全員分は無理だったのだけど・・・。」
そう言いながら笑子が、お菓子の包みを広げる。
「何だい?」音松がたずねる。
「ああ、実家から送ってきたかるかんです。」
「かるかん?」
近くにいたエルザが首をかしげる。
「ええ、映画の『奇跡』に出てきますよね、かるかん、私、実家がかるかんを作っている和菓子店なのです。」
「そうだったんだ。」話を聞いていた佐緒里が目を輝かせる。
「はい、この間、あかりさんに映画の中のかるかんの話を聞いて、みなさんに食べて欲しくて送ってもらいました。」

「かるかん」というお菓子は、鹿児島県の特産品で西暦1700年前後に薩摩藩で誕生したと言われている。
米から作られたかるかん粉と山芋、砂糖を混ぜて蒸した素朴だけど品のある美味しいお菓子である。

「わぁ、ねえ、笑子さんもかるかん作れるの?」佐緒里がたずねる。
「はい、作れますよ。本当は、今日も作ってくれば良かったんだけど・・・。」
「ねぇ、今から映画祭でって言うのは無理だけど映画祭が終わったあと改めて、かるかんのイベントをやらない?」
「いいねぇ」横で聞いていた音松がうなずく。
「楽しそう。」
「うん」エルザと元気もうなずく。
「くぅーん」遠くの松五郎が鼻を鳴らす。

「これで決まりね。日にちは覚えやすい七夕ではどう?」佐緒里がみんなに尋ねる。
「いいですね。星に願い事をする日だから映画祭の両作品に通じるし。」笑子がこたえる。
「映画祭のあと、ずっと余韻に浸れるし、いいアイディアだ。」音松がにっこりする。
「くぅーん」松五郎ももちろん賛成。
近くで話を聞いていたリーダーが、
「それじゃあ、決定しましょう。場所はいつもの障害者福祉会館。」
と、GOサインを出した。

つづく・・・。
*7月7日本当にありますからねー。

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